現実の殺人・虐待
『チャイルドコール 呼声』において話が二転三転するうちに、観客はもっとも現実的な情報を頼るようになる。それはヘルゲの見た世界、映画の終盤で示される警察やメディアからの情報である。アナが入居したアパートでは殺人事件が起きた。チャイルドコールからアナが聴いたのは子供が本当に虐待されている恐ろしい音声だった。少年の死体は森の中に埋められていた。アンデシュは8歳の時に父親に虐待されて殺されていた。
少年の母親は、チャイルドコールから聴こえる叫び声から判断すると子供の死にショックを受けているようだが、少年の亡霊がヘルゲに、母親からも虐待されていたと発言することや、報道から、母親も虐待に加担していたと観客は信じることとなる。