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「今の私が考えるべきなのは――アンデシュのことだけなのだ。あの子なしでは――私はこの世界にいる意味がない。彼らからアンデシュを引き渡された時――私は逃げることに神経を集中させた。必死だった。アンデシュを連れて逃げたのだ。この子を救えるのは私だけだと――自分に言い聞かせながら…でも私は自分の責務を果たせなかった。次は、あの人たちから必ず逃げ切ってみせる。その日は決して遠くはない」
――被害妄想で精神を病んでいるアナの台詞「チャイルドコール 呼声」より

2012年のアマンダ賞ノミネーション発表(訳注:2012年6月19日にプレス発表)で、ポール・シュレットアウネ監督作「チャイルドコール 呼声」が最優秀作品賞を含む9部門で候補に挙がったことに、多くの人が驚きの声をあげた。なぜなら、秋のプレミア上映時には批評家からは好意的な評価を受けていなかったからである(4つ星に満たない評価)。今こそ、本作品のテーマ分析、映画の構造分析を行うには良いタイミングであろう。
まず、『チャイルドコール 呼声』とシュレットアウネの前作『隣人』(2005)、この2作は似通ったテーマを扱っていることについて述べることから始めよう。そして、『チャイルドコール 呼声』のプロットは首尾一貫していることを検証する。続いて、主なるテーマとモチーフを論ずる。そこでは、青色の活用、類似性と表現法に関しても明らかにする。最後に、最も重要な点である、現実と想像上の世界との関係を本作はどのように描いているかを、同じようなシチュエーションを4つのバージョンで示すことで検討する。現実との関係性を論じ、後記において青色との関係にも言及する。
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Originally published at Montages.no / Analytical article was written by Mr. Dag Sødtholt