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このコーナーは、ノルウェーの映画サイト「モンタージュ(montages)」の許可を得て2012年7月2日の記事を 全文翻訳・転載したものです。
※ご覧になる際は、作品の結末に触れていますのでご注意ください。
※この分析は、あくまで著者個人の解釈によるものです。シュレットアウネ監督はじめ製作者サイドの公式な考え方というわけではありませんが、作品の内容を理解するには非常に有益な分析ですので、ご紹介させていただきました。ご鑑賞の際のご参考としてぜひお役立てください。

 僕はアナという女性に出会ってから、いくつかの不思議な体験をした。このことについて、僕なりに調べているうちに、彼女は僕が思うよりもっと不可解な世界で生きていたのだと気付いたんだ。そして、もっと彼女のことを理解すべきだと。理由は分からないけれど。もしかしたら、彼女が僕の母親に似ているからかもしれないね。
 そうして、ようやく、この不可解な事象を紐解く鍵を見付けたんだ。ノルウェーのある映画評論家による分析だ。僕はこれを読んで、僕の体験したことの謎が解け、アナの世界に触れられた気がする。その世界は一見複雑な構造をしているけれど、ヒントに気付けば彼女の見ていたものが見えてくると分かったんだ。
 これからその分析を紹介していこうと思う。アナの物語をまだ知らない人は注意しながら読み進めてほしい。

 
 
Prologue  驚きのノミネート

Chapter1 『チャイルドコール 呼声』 『隣人 ネクストドア』 2本の映画における精神の病い
・ 愛する人をあきらめきれない――似通っている2本の映画
・ テーマ設定――ポランスキー 『反撥』、フィンチャー 『ファイト・クラブ』、アントニオーニ 『欲望』、
 デ・パルマ 『ミッドナイトクロス』 などからの影響

Chapter2 演出の緻密さでおりなす、プロットの一貫性
・ 現実の殺人・虐待
・ チャイルドコールから聞こえた音
・ アンデシュというサイン
・ 脳内と現実の世界のはざまで

Chapter3 似た関係性を使った表現
・ メビウスの輪のような効果
・ 作中人間関係にみられる類似性

Chapter4 衝撃の結末への伏線とその表現法
・ アンデシュを抱くアナ
・ 重要な小道具--絵・ジャケット・カーテン

Chapter5 死を象徴する青色

Chapter6 作中シーンにみる現実のさまざまな解釈
・ バージョン1:穏やかな世界--ヒッチコック 『めまい』 を想起させる演出法
・ バージョン2:現実に近い世界--幻の湖
・ バージョン3:アナの悪夢の世界--心の動揺と不安
・ バージョン4:フィクションの世界--アナの子供時代の思い出
・ レネ 『去年マリエンバードで』 に匹敵する構成の緻密さ、巧みな演出

Epilogue 青色の特徴、物語の語り手‐『チャイルドコール 呼声』 における現実とは?
・ 『隣人 ネクストドア』と『チャイルドコール 呼声』の基本構造

 
 
ダグ・セーソルト (Dag Sødtholt)
1958年生まれ。「モンタージュ」をはじめノルウェー国内の主要映画誌に寄稿するノルウェーのフリー映画評論家、映画ライター。「モンタージュ」は2009年4月1日創刊のノルウェーの映画のウェブマガジン(http://montages.no/)で、セーソルトは2011年から寄稿している。
 

Originally published at Montages.no / Analytical article was written by Mr. Dag Sødtholt